医療法人の種類について

2024年03月04日

今回は、医療法人の種類についてまとめてみたいと思います。今回手掛けた医療法人の解散手続きを進めましたが、医療法人の種類について、その内容が異なる個所があります。その点について解説したいと思います。

目次

1.医療法人の種類

2.解散における手続きの共通点・相違点

3.まとめ


1.医療法人の種類

 医療法人には、いくつかの種類があります。一般社団や財団と同様に、人の集まりで構成する社団、お金の集まりで構成する財団の区分けは同じですが、「持分あり」「持分なし」の違いにより、解散の時の手続きが異なってきます。

 ①社団医療法人

  主に医療や福祉の分野において活動するために設立される法人のことを指します。社団医療法人は、医師や医療従事者が集まって運営することが一般的です。その目的は、医療や福祉の提供、医療機関の運営、医学の発展などに寄与することです。

 原則、社団医療法人は、一般社団法人と同じく人の集まり(社員)により、運営されます。株式会社のように、より多くの株式を持つことで権限が大きくなるということはなく、社員1名に対し1議決権となっています。

 さらに、社団医療法人で、「持分あり」と「持分なし」に区分されます。解散した後、清算を行い、清算結了後の「残余財産」の帰属先が、持分ありの社団医療法人ですと、出資者に帰属します。そして、その中で出資額限度法人があり、出資持分の定めがある場合で、定款に定めるところにより、社員の退社に伴う出資持分の払戻しや医療法人の解散に伴う残余財産の分配の範囲について、払込出資額を限度とする旨の定めがある社団医療法人のことをいいます。

※平成19年の医療法改正により、新たに持分あり医療法人の設立はできなくなりました。

 ➁財団医療法人

  財団とは、お金の集まりのことをいいます。個人や法人がお金を寄付することで組織されます。持分がないので、財団医療法人が解散した際は、お金を寄付した者に返還されず、国、地方公共団体又は他の医療法人に承継されます。残余財産の処分について、厚生労働省のモデル定款では、寄附行為の定めとして国、地方公共団体、医師会、他の財団医療法人、持分なし医療法人などとなっています。通常は、換価できていない建物などは、いきなり国にもっていってもなかなか受け付けてくれませんので、医師会→地方公共団体→国の順番で、引き取り先を当たっていく必要があります。

 ③特定医療法人

  租税特別措置法に基づき、持分の定めのない社団医療人又は財団医療法人で、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたものをいいます。特定医療法人として承認されると、法人税の軽減税率が適用されます。

 ④社会医療法人

平成19年の医療法改正により新たに創設された後、それまで主に公的医療機関が担ってきた公益性の高い医療医療を担う医療法人として運用されています。特に地域で必要な医療を行う主体として、一般の医療法人と区別して認定されている法人です。租税特別措置法に基づき、持分の定めのない社団医療人又は財団医療法人で、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたものをいいます。承認を受けると、法人税の軽減税率が適用されます。

2.解散における手続きの共通点・相違点

 年に2度行われる、審議会の審査と都道府県知事の認可、解散・清算人の選任登記、登記完了後の届出、清算結了、清算決了登記、登記後の届出、は共通です。

 上記でも触れましたが、異なる点は、「清算後に発生した残余財産の帰属先」についてです。

3.まとめ

 医療法人について解説しました。持分あり社団医療法人は、平成19年以降は設立することはできなくなっていますので、残余財産は国庫に必ず帰属してしまうのか?というご質問を受けることがありますが、清算中に「役員退職金」で調整を図れば、残余財産は最小限に抑えることができます。

 詳しくは専門家にご相談ください。

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